日本被団協の活動とノーベル賞受賞の背景
- 日本被協団(以下、被団協)とは
- 日本の反核運動
- 日本被団協がノーベル賞を受賞した理由
- 石破発言に対する被団協からの批判
「日本被団協」とは?
今回、日本でノーベル平和賞が出たね!凄い話だね。
でも、日本被団協ってどんな活動してるの?
被団協は、広島・長崎で原爆の被害を受けた被爆者の協議会なんだよ。原爆被害への国家補償要求とともに、核兵器の廃絶を主な活動・目的としているよ。
活動内容
日本被団協は略称で、日本原水爆被害者団体協議会(にほんげんすいばくひがいしゃだんたいきょうぎかい)です。
日本被団協の目的および活動内容は
・核兵器廃絶と原爆被害への国家補償要求
・日本政府、国連、諸国政府への要請行動
・核兵器の廃棄、撤去、核兵器廃絶国際条約の締結、国際会議の開催、非核 法の制定、原爆被爆者援護法の国家補償の法律への改正、被爆者対策の充実 など
・被爆の実相の国内外への普及活動
・原爆被害の調査・研究、出版、展示、集会、代表派遣
・被爆者の相談・援護活動
日本の反核団体
元々日本の原水爆禁止運動は一つの統一された運動でした。
しかし、1960年代に入り、核兵器廃絶の方法やアプローチについて意見の対立が生じ分裂しました。その結果、日本被協団、原水協、原水禁等の複数の団体に分裂しました。
・日本被団協(今回ノーベル平和賞を受賞):被爆者の権利を守り、支援を行うことを目的としています。被爆者の 健康管理や福祉サービスの提供を行い、核廃絶を訴えています。
・原水協:原水爆の被害を広めるための啓発活動を行い、核兵器の廃絶を目指しています。教育や研修、デモ活動などを通じて、反核意識の普及を図っています。
・原水禁:原水協と同様に反核運動を行っていますが、より広範な市民運動として、多くの市民が参加する大規模な活動を展開しています。
脱原発活動にも精力的に行っており、近年では福島第一原子力発電の処理水の放流に対する反対運動も活発に行っています。
それぞれ異なるアプローチで核兵器の廃絶と被爆者の支援を目指しています。
日本被団協がノーベル賞を受賞した理由
(ノーベル平和賞公式サイトより冒頭を抜粋)
お知らせ
2024 年10月11日 オスロ
ノルウェー・ノーベル委員会は、2024 年のノーベル平和賞を日本の団体「日本被団協」に授与することを決定しました。広島と長崎の原爆の生存者「ヒバクシャ」による草の根運動に取り組んできた日本被団協は、核兵器のない世界の実現を目指して尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて身をもって示してきたことが評価され、平和賞を受賞します。
被団協が受賞した要因
・核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使用されてはならない事を証言によって示してきました。
・被団協は、毎年代表団を国連やさまざまな平和会議に派遣し、核軍縮の緊急性を世界に訴え続けてきました。
・被爆者は高齢(平均年齢:85歳以上)で近い将来、歴史の証人ではなくなる。そのため次世代の若い世代に被爆者の経験とメッセージを継承しています。
・核兵器のタブーを維持する手助けをしています。
(核兵器のタブー:核兵器の使用は道徳的に容認できないという強力な国際規範)
被団協は、他の反核団体に比べて政治的活動の色合いが薄く、その分被災者支援の活動が活発なようですね。
石破発言に対する被団協からの批判
石破発言の説明
2024年9月16日の自民党総裁選候補者ネット討論会において、米国の核兵器を日本で使用する核共有1について「非核三原則2に触れているものではない」と述べ、議論する必要があるとの考えを示しました。
日本は核兵器を持たず、非核三原則に基づいて核兵器の保有、製造、または持ち込みを禁止しています。しかし、日本はアメリカとの安全保障条約に基づき、アメリカの核抑止力を共有しています。この「核の傘」の下で、日本は安全を確保しています。
1.核共有:核兵器を所有する国が他国に貸し出すか、共同で核兵器の運用・管理したり、技術や知識を共有することを指す。例えば、アメリカ合衆国は、イギリスやフランスなどの同盟国に対して核共有を提案しています。これにより、同盟国は自国の核兵器を持たずに、アメリカの核抑止力を利用することができます。
2.非核三原則:①核は保有しない ②核は製造もしない ③核を持ち込まない
なぜ被団協は石破首相を批判しているのか
被協団は石破首相の「核共有」を批判しています。
石破首相は、アメリカの核兵器を日本で運用する「核共有」について議論の必要性を訴えましたが、これが日本の非核三原則に反するものとして、被団協から強い反発を受けました。
長年、核兵器廃絶を目指してきた団体にとっては、首相の発言は被団協の理念に反するものであり、批判の対象となったのです。
おわりに
ここからは個人的な考えですが、
被団協および石破首相どちらの発言も支持します。
日本の国防を踏まえるとアメリカの核の傘は必要です。
一方、世界的に核兵器は拡大・発展しており、国際社会にとって大きな懸念材料です。そのため核抑止は国際的な課題です。
日本は世界で唯一の被爆国であり、その国内で唯一の被爆者の人達は貴重な存在です。
核抑止と被爆者の関係は核兵器の利用と影響を考える上で非常に重要です。
被団協の方々の活躍に今後も期待しています。
(了)